top of page

私たちの自然農法について

1)MOA自然農法の始まり

1935年に岡田茂吉氏が創始提唱した自然農法の根本原理は、
1)自然に倣い(ならい)、自然を尊び、自然に順応する、を基本とする。
2)肥料に頼らず、土を尊び、土を愛し、より清くすることによって、土本来の力が発揮できる。
結果、作物を有り余るほど生産することができ、作り手も食べる人も豊かになって生活の楽しみも増してくる、
というものでした、
※岡田茂吉(1882-1955。宗教家、哲学者、芸術家、自然農法創始者)
※MOA(Mokichi Okada Association)

現在、岡田氏の農法の普及活動と農産物の販売事業は、「一般社団法人MOA自然農法文化事業団」や「NPO法人秀明自然農法ネットワーク」などによって営まれています。

2)福富普及会

 1990年、稲作農家を中心に福富町の30世帯の自然農法農家によって発足。現在まで累計67世帯が会員登録しています。最盛期には、活動拠点の福富パッケージセンターから毎週250個の野菜セットを発送していました。
 発足から33年を経た2023年現在、世代交代と新規就農者を合わせた10世帯によって、農産物の生産出荷が行われています。

 

3)MOA自然農法の認証と位置づけ

今、農業の世界では様々な栽培方法が試みられており、それをおおまかに一覧すると下図のようになります。
 

img_fig-nouhoupiramid2.jpg

生産性・市場性のベクトル:美味しい農産物を、たくさんのお客様に安定してお届けすること。
持続性・生命倫理のベクトル:生き物をむやみに傷つけず、地球環境に配慮した農の営みを続けていくこと。

赤矢印方向の農法は、生産性がよく均一なので流通に好まれ、結果消費者に購入していただける農産物を育てやすい農法です。それは、命の多様性を排し人為的な肥料を施用することを必要とします。そしてその農法を可能にするものを元をたどると石油や石炭。膨大な時間をかけて植物が太陽エネルギーを光合成によって有機物として蓄えることによって出来たもの。厳しく言うなら、地球から収奪したエネルギーに頼る脆弱な生産方法であり、いつまでもつづけられるものではありません。


緑矢印方向の農法は、田畑への人為を排して自然の営みに従い、持続可能性が向上し生き物に優しい農法です。しかし手作業の重労働が多く収穫物は少なく形も不揃いです。お客様の理解なくしてはこのような農法を志向する農家は生計が成り立ちません。
 

 農法に正しい、正しくないはありません。
 

 多様なお客様に安全な農産物をお届けすることを使命とする生産者は、それぞれの思いでより良い農業を模索しています。

 このような実情からMOA自然農法の認証は、無化学農薬・無化学肥料を遵守している②~⑦の幅広い農法を包含する「有機JAS相当」を基準として採用しています。
※有機JASは農林水産省が管轄する農産物の規格で、化学農薬や化学肥料などの化学物質を使用しないことが徹底されています。

4)自然農法と有機農法の違い

img_sagyou-taihi.JPG

有機農法
 昭和頃の慣行農業において、強い農薬や化学肥料を多用した栽培により環境汚染や健康被害が発生しました。それに対する反省から起こった有機農業運動では、化学農薬を使わず、化学肥料の代わりに有機質(主に家畜糞堆肥)を作物に与えるようになりました。
 有機農業では、田畑に投入した有機物を土壌動物・微生物が分解して、それが作物の栄養となるという施肥の考え方をします
。その利点として、計画的に野菜に必要な栄養を供給できるので、安定した品質や収量の野菜を生産しやすいことがあります。一方で、どこかから継続的に有機物を調達して田畑に投入する必要があり、もとをたどればその大部分は化学肥料(石油・石炭)に行きつきます。

※有機農業(オーガニック)の技術は多彩で、緑肥や自然農法的な考え方も取り入れており、自然農法との境は実質的にありません。

自然農法
 自然農法や自然栽培、自然農など、「自然」という言葉を含む農法に共通なのは、森がそうであるように自ら豊かになっていく自然の力を信じて、田畑の外から人為的に物質を持ち込まないのを基本としていることです。
 肥料を入れない、もしくは少ししか入れないと、稲や野菜たちは土壌中に薄く広がった栄養素を求めて根を広範囲に伸ばし、逞しく育ちます。また、微生物の活動が盛んになり、土壌中の栄養を野菜に届けたり独自にアミノ酸を合成し始めます。土壌中に住む厖大な数の微生物(単細胞生物、菌根菌、他)と野菜の協力が始まるのです。
 MOA自然農法の創始者岡田茂吉氏は、「土の偉力(いりょく)を発揮させよ」と語っています。そのためには、勇気を持って肥料を投入せず土壌の潜在能力を引き出すことが必要なのです。
 土壌微生物のネットワークが作り出す栄養素、田畑の外から自然に流入してくる栄養素、訪れる昆虫や動物たち。田畑を小宇宙とする深淵な仕組みから生み出される生命力が「土の偉力」であると私たちは考えています。

5)福富普及会の生産者の思い

お客様に農産物をお届けするために、
私たち福富普及会メンバーは各々、自分が理想とする農業に取り組んでいます。

★命に係わる病が自然農法の野菜によって奇跡的に治癒。自然農法創始者の思想を遵守し、土の偉力を信じ、田畑に一切の肥料を入れずにお米や野菜を育てている生産者。

★農業の技術を公的な研修機関で習得、正確な量の有機肥料を施し繊細な管理で病虫害を防ぐことで、多くのレストランやお個人の客様に喜ばれる美味しくて高品質の野菜を安定して出荷している生産者。

★庭先の小さな畑で代々40年以上、子供や孫のための野菜を作ってきたおばあちゃん。

★有機農業と自然農法の間をつなぐ技術である、緑肥や雑草よって土壌動物や微生物の働きを活性化させる草生栽培で、持続可能な農業を目指す生産者。

繰り返しになりますが、栽培技術に「正しい・正しくない」はありません。

無色透明の光は、プリズムによって様々なスペクトルの色に分けられます。色は個性です。

私たちは、農薬や化学肥料を使う慣行農法も含め、自分とは違うスタイルの農法の良さを理解し尊重しています。

 

bottom of page